菌根菌

先週の土壌肥料学会では発表もいくつか聞いてきました。

菌根菌の研究をしているお客様の発表が一番印象に残りました。

そもそも菌根菌って何ですか?って人がほとんどだと思います。

キノコやカビは大きなくくりで真菌というグループに属します。

このグループの中に植物の根に共生しているものがあり、菌根菌と呼ばれています。

キノコも地下では周囲の植物の根とつながっているものは菌根菌です。

菌根菌は植物が光合成によって作った炭化水素をもらう代わりに土壌中からリン酸等を吸収して植物に与えるという共生関係を構築しています。

簡単にいうと菌根菌と共生することで植物は土壌中の養分を効率的に吸収することができます。

この機能に着目して菌根菌畑にまくことで肥料を減らす研究が行わており、一部ではありますが微生物資材として市販化もされているようです。世界的には今後も人口増加が続き、それにともない食糧生産を増加する必要があるので、そう遠くない未来に肥料としてのリン酸が世界的に供給不足になると予測されています。現在のように化成肥料を大量に使う農業をやり続けられるのがいつまでできるかはわかりません。

一見地味ですが生物を利用した非常に将来性のある技術だと思っています。

さらに発表ではある菌根菌を撒くと植物の酸性土壌に対する耐性が向上するというものでした。植物の耐酸性や耐塩性は世界的にはこれまた非常に重要です。

現在マイクロバイオームがブームで微生物の中ではバクテリアは注目されていますが、菌類ブームもおきて欲しいです。