いろんなものからDNAを抽出する

久しぶりにに技術系の話です。

現在年度末の繁忙期の真っ最中です。自分は主にお客様から送らてくるサンプルからのDNA抽出を担当しています。繁忙期ということもあり、様々なサンプルが送られてきます。おかげさまで毎日修行に励むことができ、このまま修行を続けていくと地球上のどんなサンプルからもDNA抽出ができるようになるんじゃないかと思っています。サンプルの物理化学的特性と解析の目的に合わせて前処理や抽出方法を変えています。

マイクロバイオーム解析(微生物叢解析)が一番多いご依頼です。マイクロバイオーム解析と言えばヒトの糞便やマウスの糞便の解析を思い浮かべる人が多いと思います。でも最近は様々なサンプルのマイクロバイオーム解析を行われております。弊社で取り扱っているサンプルは、土壌、水、大気、食品など多岐にわたります。マイクロバイオームの解析では、細胞の外壁の硬い微生物のデータをきちんと取得するために、物理化学的にしっかりと微生物の細胞を壊すことが非常に重要です。そうしないと殻の硬い微生物のデータを見かけ上少なく見積もってしまいます。また、糞便と言っても人やマウスだけではなく、魚類や昆虫など生物種はどんどん拡がっています。

糞便の解析という点ではマイクロバイオーム解析ではない解析もあります。それは野生生物の食性解析です。糞便に残っている餌のDNAを解析して餌生物を推定します。生態学や環境分野でのDNA解析技術の利用が拡がっており、様々なサンプルを取り扱うようになりました。サンプルによってはマイクロバイオーム解析とは異なる視点での前処理を行う必要があります。

これまでの修行の成果を書き続けると収集がつかなくなってしまうので、本日はここでおしまいです。面白いネタができたらまた更新します。

写真はDNA抽出専用の部屋です。2年ほどでいろんな機材やノウハウが蓄積されました。最近はこの部屋と一体化している日も多いです。

最後になりますが、弊社では実験台に試薬や消耗品等を可能な限り置きっぱなしにしないのが基本です。棚も設置しません。理由はそのような構造物があると掃除が不徹底になるからです。ホコリはコンタミネーションのリスクを上げます。掃除をしやすい構造にして、掃除をこまめに行うのが次世代シーケンス解析を行うにあたっての基礎であると思っております。