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多面的な知見の取得が期待できる「集団構造解析」

「集団構造解析」では、異なる手法による解析結果をパッケージ化してご提供します。複数の解析手法を併用することで、結果の整合性を検討することが可能です。また、単一手法では得られない多面的な知見の獲得も期待できます。

集団構造解析 の価格と納期

サンプル数 価格(税別) 納期
1~96 120,000円 なし
97~480 200,000円 10営業日
481~960 300,000円 20営業日
961~ 要相談 要相談

GRAS-Di®解析・MIG-seq解析・RAD-seq解析 からご依頼の場合は、こちらのページをご覧ください。

その1. 系統解析

IQ-TREE (※1)を用いた最尤法により、系統樹を作成します。
系統樹とは、生物の系統進化の過程を枝状の分岐として視覚的に表現した図です。
この手法は、種間の進化的関係だけでなく、種の分類の再評価、品種間や集団間の類縁関係の解明にも利用されます。

解析事例)各イネ品種の系統解析

解析事例に示した系統樹では、北海道品種群、ひとめぼれ群、つや姫群は、それぞれ単一のクレード(分岐群)を形成しており、遺伝的にまとまりのある品種群であると考えられます。一方、コシヒカリは1サンプルのみ異なるクレードに属しており、この個体は実際には別の品種である可能性や、同一品種内に異なる系統が混在している可能性が示唆されました。

※1 2025年9月にRAxMLからIQ-TREEに変更しました。大規模データであっても、高速・高精度な推定が可能になりました。

 

その2.Neighbor-Netの作成

個体間の遺伝的距離をもとに、系統関係をネットワークで表現します。一般的な系統樹が二分岐の連続で表現されるのに対し、ループや交差を含むネットワーク構造で表現されるため、交雑、網状進化など複雑な進化の可視化に適しています。
近縁種間の系統解析や、種内の集団遺伝学的解析に用いられます。

解析事例)各イネ品種のNeighbor-Net

Neighbor-Net解析事例では、サンプルがいくつかの遺伝的グループに分かれ、遺伝的分化が比較的明確であることが示唆されました。

デモデータをご覧いただけます(エクセルファイル)

その3.structure解析

structure解析では、各個体が遺伝的に類似したクラスター(仮想的な祖先集団)に由来する確率を推定します。同じクラスターに高い確率で属する個体同士は遺伝的に類似していると考えられます。
この解析により、遺伝的に分化したサブグループの存在を示唆したり、分類の手がかりを得たりすることが可能です。また、地理的隔離や環境要因による集団の遺伝的構造の検出にも有用です。さらに、交雑の有無を評価する際にも活用されます。

解析事例)各イネ品種の遺伝的構成の違い

structure

解析事例では、サンプル1, 2, 14, 15は赤いクラスターが優占しており、共通の祖先系統に由来するなど、遺伝的背景が類似していると考えられます。一方、サンプル16のように、複数のクラスターに由来するサンプルは、異なる系統間の交雑や、その後の選抜育種の影響を受けている可能性が示唆されました。

その4.遺伝的指数の算出

得られたSNPデータと、グループ分け情報に基づき、Stacksを用いて集団内および集団間(総当たり)の遺伝的指数を算出します。これらの指数は、集団の遺伝的多様性や近交の程度、 集団構造の評価に利用されます。

解析事例)各イネ品種の遺伝的指数

遺伝的指数の算出

 

Obs_Het(ヘテロ接合度の観察値):遺伝子座がヘテロ接合である割合
Exp_He(ヘテロ接合度の期待値):対立遺伝子頻度から計算したヘテロ接合度の割合
Pi(塩基多様度):ランダムに抽出した2つの配列間で異なっている割合
Fis(近交係数):分集団内で近親交配が進んでいるか判断できます

Fisが正のとき、分集団内で近親交配が生じている可能性が示唆されます。
Fst(固定指数):集団間が遺伝的に離れているか判断できます

0-1の値をとり、大きいほど集団間が遺伝的に離れていることを示します。

デモデータをご覧いただけます(エクセルファイル)

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